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『君に会うまでは』 第十五章「結婚」 2

<前回まで>
『君に会うまでは』 第十五章「結婚」 1

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 長くて孤独な夜をやり過ごしてきた。明るい性格ではなかったし、むしろ

暗い方だった。こんな男を好きになってくれる、いつか出逢うだろう恋人は、

本当にこの空の下に存在するのだろうか?とも思った。それでも、会社の同

僚が企画した合コンで知り合った女性と付き合ったりもした。残業で稼いだ

お金で中古の車を買って、週末はドライブをしたりして、束の間の時を楽し

んだ。でも長続きはせず、いつか別れてきた。ひとりであてもなく車を運転

していると、ふと根本美加のことを思い出したりした。車を止めて街灯りを

見ながら、今でもあの頃の幻をまだ追い求めていた。

 たまに帰省すると、両親からも結婚のことについて、回りくどく聞かれた

りもした。そんな時はいつも生返事するだけだった。それからも帰る度にそ

れらしいことは訊ねられたけど、ある頃からはピタッと何も聞かれなくなっ

た。それくらい自分も歳をとったということなのか。

 世話好きな友人や知人から、縁談の紹介があったりして、何度かデートし

たりした女性はいたけど、結婚を意識することはなかった。どこかで何かに

怯えている自分がいたのかもしれなかった。あの時、芳田医師は、結婚もで

きるし、こどもも大丈夫だといってくれた。その言葉が慰めだったけど、も

う10年以上過ぎていても、病気のことは心の奥底でくすぶり続けていた。

 もう一生独身のままなのかも…

 そんなことをぼんやり考えながら、それも悪くはないかな、と気儘で怠惰

な日々を送っていた。


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