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『君に会うまでは』 第十四章「5年」 1

<前回まで>
『君に会うまでは』 第十三章「就職」 5

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 一般的に、がんの診断から5年経過後に生存している患者の比率のことを

「5年生存率」と呼んでいる。がんの発生部位やステージと呼ばれるがんの

進行状況により、5年生存率は異なる。さまざまなデータが存在するが、睾

丸腫瘍の5年生存率は90%を超えているデータもあり、比較的予後の良好

ながんのようである。定期的に再発がないか、検査をきっちり行うことが肝

要なのである。

 すでに睾丸腫瘍と診断され、手術してからおよそ3年が経過していた。東

京での暮らしも慣れたころだった。世の中はバブル景気で仕事も忙しかった。

大規模なプロジェクトに配属され、歯車にように毎日、残業続きの生活を送

っていた。それでも、食生活、睡眠には注意を払い、決して無理をしないよ

う自分自身をコントロールした。

 199×年も残り数日を残すだけだった。昨日から実家に帰省していて、

今日はこれから病院に行って、いつもの検査を行う予定になっていた。

 外来の窓口で検査を受けに来た旨を告げる。年末でも病院には多くの患者

が自分の番を待って椅子に腰かけている。しばらくして、自分の名前が呼ば

れ、診察室の中に入っていった。

 主治医の芳田医師は今日は不在のようで、別の医師がそこには座っていた。

首や脇のリンパを触診して、何やらカルテになぐり書きをしている。いつも

のように、放射線科でいつものようにCTスキャンによる検査を受けるよう指

示があった。

 またしばらく待たされた後、検査室へ入室するよう指示があり、検査のた

めに備えられていた着衣に着替えた。馬鹿でかい機械の中にスッポリと収ま

り、あとはマイク越しに放射線技師の言うとおりに息をとめたり、楽にした

り、ロボットのようにしたがった。機械が数センチごとに進むたびに、見え

ないギロチンカッターで体が輪切りにされていくようだった。見えない放射

線に必要以上浴びる影響のことも気になった。

 検査は20分近くかかって終了した。結果は数週間後に聞きに来て下さい

とのことだったので、東京に戻ってしまっているその頃に、いつものように

両親に結果を聞きに行ってもらうことをお願いした。

 あとおよそ2年だ。5年経過すれば、完治したと一般的にはいえるのだ。

もう少しの辛抱だ。


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2012/05/18 (Fri) 19:01

『君に会うまでは』 第十三章「就職」 5--- 一般的に、がんの診断から5年経過後に生存している患者の比率のことを「5年生存率」と呼んでいる。がんの発生部位やステージと呼ばれるがんの進行状況により、5年生存率は異なる。さまざまなデータが存在するが、睾丸腫瘍...

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