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『君に会うまでは』 第十二章「復学」 4

<前回まで>
『君に会うまでは』 第十二章「復学」 3

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 下田助教授の提案で、二部の授業に出席するために、毎週水曜日は朝から

夜まで、大学の中で過ごした。必須講座の経営工学演習は、演習と名がつく

だけあって、講義とは違って、実際に課題が与えられて、グループになって

手を動かして進めていくので、時間が経つのがあっという間だった。時間内

に完了することもできない場合は、残りは宿題になることも多かった。

 定期的な通院の日以外は毎日、大学に顔を出した。病院では、血液検査や

レントゲン、CTスキャンなどで、その後のがんの転移がないかなどが調べ

られた。もともと血管が細く、注射では看護師泣かせのようだった。両腕と

もに注射痕が痛々しかった。注射とは違って、レントゲンやCTスキャンは

痛みはない分、楽ではあったけれど、こんなに何度も放射線を浴びて大丈夫

なんだろうかという不安もあった。

 前期試験はなんとか受けることができたけれど、ほぼ一夜漬けに近い状態

では、出来もあまり期待できないこともあったので、遅れを取り戻すように、

これまでになく授業も休むことなく出席し、大学教授の講義も真剣に聴いた。

 大学の友人らと近くの喫茶店で無駄話をしたり、ビリヤードをしたりだと

か、誰かが持ってきた合コンなんかの話もやめておいた。アルバイトも再開

するのは控えていた。もちろん、吸っていたタバコもやめた。

 ある意味、極端ではあったけど、体のためには無理はしないでおこうと思

った。もう病院なんかには戻りたくはない。

 朝起きて、朝食をとって、満員電車に揺られて、大学に行って、授業に出

て、学食で昼ごはんを食べて、午後の授業に出て、また、家に帰っていく。

そんなあたりまえの生活ができることだけで幸せが感じられた。



 そんな単調ではあったけれど、新鮮に思えた日々が過ぎて行った。心配し

ていた、必須講座も欠席することなく、すべてのカリキュラムを完了するこ

とができた。後期試験も準備して臨めたので、これまでになく終わった時に

はすっきりした達成感があった。

 こうして無事に大学3年の過程を修了し、大学生活最後の1年となる、4

年に進級することができた。ほとんどあきらめていたことなのに、こんなに

とんとん拍子にことが進んだことに、何か不思議な、奇跡のようなものを感

じずにはいられなかった。

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2012/03/28 (Wed) 17:15

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